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特別コラム:木村太郎のボートショー見て歩き

ニュースアナリストとして幅広く活躍する木村太郎さんは、実はベテランシーマン。海外駐在先であった中東時代のこと、“なるようになるさ”といった意味のアラブ語<まれし>が艇名になったという。いまも湘南でマリンライフを満喫する木村太郎さんが、皆様に贈るボートショーへのいざないを3回にわたってお届けします。

特別コラム:木村太郎のボートショー見て歩き
 前回のこのコラムでは海技免許の話を取り上げたが、実はこんどのボートショーは免許とは決して無縁でないだけではなく、実は「陰の主役」だと思っている。
 というのも、最近のプレジャーボートのあり方が免許制度を反映していて、ボートショーにもその傾向が現れているようだからだ。
 その一つは「一級免許」「二級免許」共に操縦できる小型船が『全長24メートルまで」と拡大されたことだ。24メートルと言えば80フィート弱である。いわゆる「メガボート」にはならないが、これまでは6級海技士免許の必要だったようなフネも小型船舶免許で、しかも従来は「総トン5トン以下」の制限内だった「旧四級免許」で操縦できるようになったわけだ。
 私の友人で大型のパワークルーザーを所有する意思と財力を持ち合わせた人物が二人いた。このうち一人はギリギリ20トンのフネを注文で造らせたが、やはりその大きさでは彼の夢は実現できず、しばらくしたらフネを手放しただけでなく海にもやってこなくなってしまった。
 もう一人の友人は、どうしても大きなサロンやゆったりとしたステートルームが欲しかったので、旧丙種航海士免許をもっているクルーをやとって海外から20トンを超えるフネを輸入した。このクルーがいる限りは彼がヘルムをとることもできたわけだが、外国からの客に「オーナーキャプテン」と名乗れないのが悔しいとよくこぼしていたものだ。
 しかし、小型船舶免許の改正でこうした悩みも多少は解消したわけで、現実に大型艇が受け入れられるマリーナでは係留艇の大型化が進んでいるらしい。このボートショーにも51フィートという国産ではこれまでになかった大型のコンバーチブル艇が出展されたが、プレジャーボート界の大型化の傾向を象徴するもののように思える。
 もう一つの傾向は逆に小型艇が元気なことだ。言うまでもなく免許を必要としない「2馬力以下」のエンジンをつけた小型艇のことで、いま「爆発的」と言ったら少し大げさだが、とにかく増えている。
 このボートショーでもこの種の小型艇の展示が数多く目につくが、こうした小型艇を入り口にして海遊びの仲間が増えるのはうれしいことだ。
 女性のスカートではないが「マキシ」と「ミニ」が今回のボートショーのテーマのように思える。それは日本のプレジャーボート界が健全な姿になっていることを示すものだろう。

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